発達障害療育研究所 アスペルガー症候群(高機能自閉症)を中心として

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歳時記

 食の安全に付いては繰り返す必要はないと思われる。
しかし、実践となると踏ん切りが付かず、継続となれば更に困難が伴う。家庭 菜園を始めても、続けることが出来るのは半数に満たないとする統計結果があると聞く。
園芸コーナーなどを垣間見ると、トマト、茄子、胡瓜は家庭菜園(鉢植えを含 む)の定番だそうである。
これらの野菜は、食材として重宝されるから、既に実行している方があるか もしれない。
ここでは、解毒作用があるとされるコリアンダーを紹介してみたい。
コリアンダーはハーブの一種であるが、何故解毒作用があるか、その内容は 解明されていない。

苗
   平成22年5月22日、苗を購入。

コリアンダーは人により、好きと嫌いが両極端に分かれるという。嫌いと感じる方は無理に食べる必要はないと思うが、好きと感じる方は、趣味を兼ねて、是非、育てた上、食用にして戴きたい。
平成22年5月31日から平成22年8月5日まで掲載。
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歳時記

 環境省は、子どもの健康と環境に関する全国調査(愛称エコチル調査)を計画している。化学物質等が人体(特に子供)に与える悪影響を観察する疫学調査である。
具体的には、10万人のお母さんと赤ちゃんとに参加してもらうこと、赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時から13歳に達するまで定期的に健康診断を確認することがその内容である。これにより、環境要因が子供達の発達等にどのような影響を与えるかを明らかにしようとするのである。
この調査は、コホート(環境省ホームページではコーホート。Cohort study)研究と呼ばれ、調査対象の子供達の成長と同じ期間を要することになる。従って、調査結果がまとまるのは平成37(2025)年の見通しである。
同調査では、環境要因として、化学物質への曝露、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因を挙げている。中でも強調しているのが、化学物質への曝露である。
これらの結果として、身体発育、先天異常、性分化の異常、精神神経発達障害、免疫系の異常、代謝・内分泌系の異常を例示している。
本サイトで注目するのはやはり、化学物質への曝露であり、結果として、発達障害の分野である。「奪われし未来」の初版から数えれば10年以上の歳月が経過しているが、科学的根拠のためには必要な調査である。 一部地域の先行事例を除けば、政府の大規模調査はこれが最初であり、その面では期待がかかる。しかし、調査結果がまとまるのが平成37年では、現在の発達障害児にどれだけの恩恵がもたらされるか、いささかの疑問が残る。
マスコミの注目度も、各社一斉に、とはいかないようで、平成21年秋から散発的に報道されるにとどまり、平成22年の有名紙で目に付いたのは日本経済新聞しかない(4月3日付け朝刊)。
ともあれ、平成20年秋の報道(ES細胞を使用して、胎児期の化学物質の影響研究)以来、目に付いた調査である。途中中断などがないことを祈り、成果に期待したい。
平成22年4月5日から平成22年5月31日まで掲載。
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歳時記

艾餅(くさもち)、桃花酒、白酒、炒豆等を以て時食とす。
斉藤月岑 『東都歳時記』

3月3日は五節供(1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)の一つである。もっとも今は、ひな祭りとして定着した感がある。
1月1日は屠蘇酒、3月3日は桃花酒、5月5日は菖蒲酒、9月9日は菊の咲けといった薬酒がつきものである。3月3日に白酒が付き物とするのは、本来の用い方ではない。
酒の話はさておき、艾餅は、今日の漢字では草餅となる。草餅の代表例はヨモギモチである。ヨモギモチは今の都会では商店などで買う時代となった。しかし、昭和の時代においては、土手などでヨモギを摘み、餅または団子にしたものである。今でも、都会以外では、この習慣があると思われる。
ヨモギ(蓬)には薬効があるとともに、繁殖力の旺盛さから、霊力があると信じられてきた。
艾葉(がいよう)は、チョウセンヨモギの葉片をいい、艾草(がいそう)は、いわゆるヨモギである。ともに、止血、健胃作用の認められるところである。
ヨモギの歯の裏に綿毛から作ったモグサは灸に用いられる。英語でモグサのことをmoxaという。灸は moxibustionであり、ともに日本語から転用したものである。
土手などでヨモギの新芽を見つけたら、餅、団子、雑炊などにして是非食していただきたい。
平成22年3月5日から平成22年4月5日まで掲載。
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歳時記

ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず
鴨長明「方丈記」

2月は節分の月である。
鬼は外、福は内と言うのだが、変化こそ世の中の真理ではないかと思える。
方丈記では、「世の中にある人と すみかと また かくのごとし」と続く。同じ町並みと見えても、人も家もよく見ると代替わりしているのである。
分子生物学の説くところでは、人体でも似たことが起きているという。摂取された食物は分解された後、体内の筋肉のみならず、内臓その他に緩く留まり、また体外に排泄される。骨・歯でさえ、例外ではない。
成人にあっては、ほとんど変化がないと見える期間でも、分子レベルでは、猛烈な勢いで分子の交代が起きている。
成長期にあってはなおさらのこと、目に見える形で変化が見られる。身体の成長は当然のことながら、外見の変化に他ならない。
これに対して、行動の変化又は異常は、目に見える形での把握が困難である。
見えることには変わりがないのだが、行為・動作の判断になるため、見る者の感じ方で見解が異なる結果となる。
発達障害は、脳機能の障害とするのが多数派のようである。しかし、その機序(メカニズム)は、今でも解明されたとは言い難い。
成長が変化であり、人体が変化し続けるなら、機能の変化を促す刺激を与え続けるべきであろう。
平成22年2月5日から平成22年3月5日まで掲載。
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歳時記

思貌(しばく=バクは、左の字にしんにゅう)曰く − 正月に生玉葱を食す
李時珍「本草綱目」より

李時珍は、中国・明の時代の医師で、16世紀後半に活躍した人である。
その業績の1つは、中国本草学の集大成とも言うべき「本草綱目」を完成したことにある。
引用文にある思貌は、孫思貌といい、7世紀後半、唐代の医師である。
更に、本草綱目の情報収集範囲は、漢の時代にも及び、帳仲景(2世紀後半の医師)の説も収録されている。
帳仲景には、餃子にちなんだ話が現在に伝わっている。

彼が故郷に帰ると、冬の最中、着る物もなく、耳が凍傷でちぎれかけている人々が数多くいた。それを救うべし、凍傷の治療薬(寒気から耳を守るスープ)を作って、皆にふるまった。肉(当時は羊肉)、薬草を煮込み、小麦粉で耳の形に包んで、これを2個とスープを与えると、皆の耳は治ったという。
この故事にちなんで、餃子を信念の食べ物としたそうである。

餃子は現在の日本でも、なじみの深い食物である。
本草綱目を全巻通読するのは困難であるにせよ、親しみのある食べ物を手作りして、古来の知恵を拝借するのは、どうであろうか。
平成22年1月15日から平成22年2月5日まで掲載。
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歳時記

天真爛漫な稚児のように美しい大自然に抱擁されて、のんびりと楽しく生活していた彼らは、真に自然の寵児。なんと幸福な人たちであったでしょう。
知里幸恵「アイヌ神謡週」序文より

若くして世を去った詩人 知里幸恵の一節である。
首都圏にお住まいの方であれば、「神々の謡」(舞香の一人芝居)を御覧になったかもしれない。
上の文に続いて、「冬の陸には林野をおおう深雪を蹴って、天地を凍らす寒気を物ともせず、山また山を踏み越えて熊を狩り…」と描写する。折り重なるように四季を点描する文章を読むと、とても10代で逝った人とは思えない。
雪の少ない地域ならば、春から始まるであろう四季が、冬から語りおこされるのも興味深い。
雪の降り積もった風景を無の世界と表現した作家がいたと記憶する。しかし、無をゼロと認識するか、無尽蔵と認識するかは、見解が分かれるかもしれない。
老子、荘子の言葉を借り、最新物理学の解明に従えば、無から有を生じることになるのだが、ここでは深入りしない。
発達障害の治療には、現在の所決定版がない。
現代医学の総力をあげても決定版がないということは、しかし、西洋医学の範囲においては、と言い換えることができる。
東洋医学などの代替医療が有効な答えを示すことができるか、今後の推移を見守ることになる。
治療法の決定版がないということは、一歩下がって、より広い範囲から解決法を探すことになるであろう。
これまでの間、「様子を見る」と称して観察に徹するか、それとも行動するかである。
平成21年12月4日から平成22年1月15日まで掲載。
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歳時記

 此(この)秋は 何で年よる 雲に鳥
松尾芭蕉

芭蕉、晩年の作である。

正岡子規によれば、後世に残る佳作を多くものしたのは、長生きした者によく見られる傾向があるという。
芭蕉もその1人というのである。

不老不死は少なからぬ人々の願いであり、秦の始皇帝でなくとも権力者のあこがれであった。
不死ということが不可能ということは、今日、広く認識されているため、長生という観点からは検討に値する。
道教という宗教は、明確な教祖が見当たらない。老子、荘子といった諸子百家の思想が神仙思想と結びついて体系化されたようである。浦島太郎伝説や羽衣伝説にも影響を与えたと言われる。

発達障害者の平均寿命が健常者と比較してどのような傾向を示すか、今後の統計に待たなければならない。
環境省の調査が、ようやく来秋(平成22年)から開始されるようである。妊婦を対象に、化学物質が胎児らに与える影響を長期にわたって追跡調査するものである。(平成21年9月28日 読売新聞他)
奪われし未来の出版から10年余り、早いとは決して言えないにせよ、調査結果に期待したいところである。

これとは別に、国立環境研究所による胚性幹細胞(ES細胞)を使った研究が公表された。(平成20年10月6日 朝日新聞夕刊)
人の受精卵からつくる胚性幹細胞を使用して、化学物質を加えた上で神経や血管に分化させ、影響を観察する研究である。ダイオキシン、PCBなどの化学物質の影響を5年程度にわたって調べる計画という。

結果が出るのは、いずれの場合も当分先の話である。それまでは、各人ができる範囲の対策を積み重ねることが求められる。
平成21年11月2日から平成21年12月4日まで掲載。
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歳時記

 (略)土の中の生き物、たとえばミミズを切ることなどによって殺生戒を犯すことをモンゴル人はおそれるのである。              田中克彦「ノモンハン戦争」より

この引用文は著者の見解である。著作では、ソ連軍人フェデュニンスキー大佐の回想録が引用されている。孫引きを承知で示すと次の通りである。
「仏教の教えによって、大地は神聖なものと見なされているから、それを掘ってはならなかった」
このためモンゴル軍は、壕を掘ることを拒み、日本空軍の攻撃を受けて相当な損害を受けた。
堺屋太一氏にも類似の説明がある。遊牧民族にとって大地は傷つけてはならないものであり、農耕民族は、大地を傷つけるけしからぬ存在とするのである。
仏教(モンゴルはチベット仏教)の教えが大地を掘ってはならないとするのは、フェデュニンスキー大佐の見解である。日本人の感覚からは、いささか理解しがたいところである。
大地を耕作することにより作物を育てる農耕民族の発想と、仏教の教義とが仮に相反するならば由々しいことだが、ここでは深入りしない。
宗教色を除外して、最近の野外活動リーダーの教えの1つは、直火の禁止である。その趣旨は、地中の微生物を殺すなというのである。
地面に直接燃料を置いて添加するという意味での直火は、厳禁とされる。
目に見える生態系のみならず、目に見えない微生物にまで配慮を及ぼすことは、近代科学のもたらした正の側面の1つであろう。
知名度の低い法律の中に「生物多様性基本法」がある。別段法律に頼らなくても、無用の殺生は慎みたいものである。
平成21年10月1日から平成21年11月2日まで掲載。
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歳時記

 日高山系の事故については記憶に新しい。
事故原因は今後の解明に待つところが多いであろう。新聞報道では、現地を知るガイドの不足、当日のガイド判断ミスなどの指摘がある。
参加者には酷であるが、最後の判断は参加者自身であったのかもしれない。特に、自己の体力に自信がなければ、参加費を無駄にしても途中棄権選択肢の1つであったと思う。
筆者に本格的登山の経験はない。唯、春山でのヘリ・スキー(ヘリコプターで山頂に移動し、滑降するスキーツアー)ならば、ささやかな経験がある。
起床直後、山頂付近にかかっていた黒雲が、朝食後、山腹にまで広がってきたことがある。主催者に質問すると、強行すると回答された。筆者は身の危険を感じたため、参加費を放棄して参加中止を申し出た。
同室者が出払い、帰りのバスを待つ筆者がゴロ寝していると、目に入ったのは、続々と戻ってくる参加者の群れであった。中止というのである。
専門家に任せるということは、確かに大切である。しかし、専門家、指導者といえども間違いを犯すことは、先頃他界したマクナマラ元長官の著書でも明言されている。

専門医の治療法といえども決定版のない発達障害にあっては、行き着くところは保護者の判断になるかもしれない。
他の疾患について、患者が納得できるようにセカンドオピニオンを求めることがしばしばある。
発達障害の専門医が圧倒的に不足する現状では、セカンドオピニオンを提示してくれる医師を見つけることが困難なことは理解できる。
このことは、しかし、保護者自身の健康観を見直すきっかけにできるのではないか。明治以来、西洋医学に傾倒してきた現代医療に若干の修正を求める必要性を提示するのではないか。

「それ(本書のひそかな狙い)は、ガンという紡機を舞台にして、現代医学の再構築を図ってみたいというものです」 近藤誠 「患者よ、がんと闘うな」前書きより

投薬・手術といった西洋医学の手法が通用しない(少なくとも現状では)発達障害にあっては、害のない範囲で代替医療を検討すべきと思う。
自然食、自然と親しむ(ハイキング等)といった単純であるが重要な事柄を忘れた現代人が多いのであろう。
素朴な弁当、握り飯でいいから、近くの山に子供とともに出かけてみていただきたい。当然、天気が急変すれば引き返すことも忘れないように。
平成21年9月1日から平成21年10月1日まで掲載。
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歳時記

「念のためうかがいますが、アルミニウムは人体に害はありませんか」
と聞いた。自分が日常に用いるつもりなのである。技官たちはその点に確信がなかった。 司馬遼太郎「最後の将軍」より

質問の主は十五代将軍徳川慶喜である。
明治36(1903)年のことである。若くして静岡に隠居し、30年余を経て東京に移住し、大阪に旅行中、砲兵工廠を見学した時の問答から点描した。
小説家のこと故、史実であるかどうか確認はしていない。しかし、事実であれば、先見の明があったといえる。
……… 銀ならばよいか、と同書では続けている。
銀塊を砲兵工廠に送り、銀製の飯盒を作るよう、彼は依頼した。その後、死の床につくまで毎日、飯盒を火鉢にかけて三度のめしを自分で炊いたそうである。

歴史のイフ(if)は禁物であるが、このような為政者が明治にあったなら、どのような産業国家が生まれたであろうか。
自分の口に入る食料は安全なものを調達すべきこと、言うまでもない。しかし、近代というシステムは、自給自足という体制を捨て、食料すら大量規格生産をするように至った。
その結果、一部に見られるように、安全性が失われることとなった。
たとえ、生産者の長が安全に関する知識を有していても、自己消費用、外部販売用と区別されれば、消費者は安全性を欠くこととなるかもしれない。
複合汚染(有吉佐和子)に似たような話が載っている。おじいさんが自分の孫に食べさせるための梨の木と出荷用の期を区別するというのである。
食材のみならず、調理用器具にまで安全性を吟味する見識は、現代では、100年前に比べて格段に必要性を増している。
このことを再認識していただきたい。
平成21年8月3日から平成21年9月1日まで掲載。
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歳時記

こうした事情からカエルは、ホルモンメッセージを攪乱する合成化学物質に対しては格段に弱い。
奪われし未来 長尾力訳より

こうした事情とは、透水性の皮膚を通じて呼吸と水分吸収すること。「変態」と呼ばれる形態変化することをいう。この過程を司るのがホルモンだからである。

カエルという特殊な事情をもつ動物に限らない。他の野生動物についても事情は同じかも知れないと同書は既に書き記していた。

人に関して、初版で慎重であったのに対して、増補改訂版では、更に踏み込んだ。

化学物質の毒性評価を従来の成人男性のみならず、女性、特に周産期の女性に焦点をあてたことは特筆すべきであろう。

しかし、それから30年経って、農家の意識がどれほど変化しただろうか。

「ある時、強力な殺虫剤二種類をいっしょに散布したところ、翌朝、私は薬にあたって起きあがれなくなってしまいました。」
                嵐山光三郎編「農に吹く新しい風」より

平成4(1992)年頃、農家の女性による発言である。
彼女はメヌエル氏病と診断され、1週間で回復したと記されている。
これが周産期であったらどうなったか。想像する第三者の方が戦慄する。

ミツバチが帰巣しないなど、自然界での異常行動が報じられている。日本でも、スイカ農家の受粉活動に影響が出ている。

農薬が害虫たる昆虫を駆除することを1つの目標にしてきた以上、益虫たる昆虫をも巻き込むのは予期すべき誤算であったかもしれない。
平成21年7月3日から平成21年8月3日まで掲載。
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歳時記

いやしくも農業を相応に基礎ある産業と為し、日本人の勤勉心がまたひどく退化せぬうちに、村を平和な幸福な居住地にする為には、一町二町の自分で働く土地所有者を作るということが先ず最も手近なる方策である。

柳田国男 大正14(1925)年2月3日 東京朝日新聞社説より

食料自給率がカロリーベースで40%を下回る現在、柳田国男氏の論説は、今日的視点から噛みしめる必要がある。

農業を基礎産業とすることがその1である。

食糧確保が生存の必須条件であることは論を待たない。大正時代、日本は農業国であった。その時代にあって、農業を基礎たる産業にせよとする見解は、注目に値するといってよい。

当時の主要な輸出産業といえば生糸であり、今日のトヨタもまだ豊田自動織機の時代である。 SONYに至っては、創業にも達していない。

勤勉心の重要性指摘がその2である。

農業にせよ、他の産業にせよ、その振興が勤労に依存することは言うまでもない。耕して天に至るとまで感嘆された細やかな耕作態度が、当時の西洋人の驚きを誘ったであろう。

不在地主の問題がその3である。

同氏は解決策として、自作農の増加、その規模を中農とすることを主張する。自作農については、マッカーサー指令により、外圧とはいえ実現を見た。

時が移り、今日の耕作放棄地を目の当たりにした場合、どのように評価されるだろうか。日本人の勤勉心が退化せぬうちに、と主張した憂慮が現実化したことを嘆くのであろうか。

これ以上に同氏が想定・予想しなかった点は、化学物質にある。PCB(開発1929年)、DDT(同1938年)といった合成物質は、この世に存在しない時代であった。

安価な肥料の提供のため、硫化アンモニウム(硫安)に同氏が触れた箇所がある。 科学が万能と信じられていた時代である以上、やむを得ないところであるが、その後の弊害を思えば、一考を要する部分である。

左欄い、農薬の使用に至っては、想像を絶する領域であったろう。昔が良かったなどと短絡的に懐かしむ気はないが、この当時の有機野菜を今の時代に食したいとつくづく思う。
平成21年6月1日から平成21年7月3日まで掲載。
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歳時記

 しっかりと飯を食はせて
  陽に当てし
   ふとんにくるみて寝かす仕合せ
               河野裕子(歌人)

風薫る季節となり、太陽がまぶしく感じられる。
標記の短歌だけですべてを尽くせるとは言えないにせよ、太陽光線の重要性は否定できない。

梅干し作りの際、土用の天日干しを欠かせないことは、平成19年の歳時記で取り上げた。
天日干しをしなければ、ただの梅漬けにすぎない。

コメについても、稲刈りのあと「はさがけ」という天日干しをする。はさがけとは、稲の束を稲荷(いなか)に架けて干すことである。

これにより炊きあがりの御飯が格段においしくなる。わずかな調味料だけでも、十分に満足できるであろう。 ところが、機械化と人手不足のため、この恩恵にひたれる人々が少なくなりつつある。

野菜工場なる構想に至っては、人工光線で野菜の成長を促進しようとするから、太陽光線とは無縁となる。

食中毒が起きると、新聞などで薬剤によるまな板除菌が紹介される。 しかし、水で洗い、太陽光線にあてるという昔ながらの方法は、手軽で害がない。

これからの季節を機会に習慣づけていただきたい。
平成21年5月1日から平成21年6月1日まで掲載。
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歳時記

 科学の時代といわれる。

20世紀が自然科学の飛躍的発展の一時期であったことは疑う余地がない。特に、科学技術がもたらした生活の革新は、人の考え方をも変化させた。

20世紀初頭、当時日本領であった台湾につき、糖業改良意見書作成したのは新渡戸稲造博士であった。「近世の学理(近代科学理論)」に基づく建白には、培養法の改良、製造法の改善といった項目は列挙されているが、合成化学物質は顔を見せない。

生体でしか生成されないと信じられてきた尿酸が試験管内で合成されたのは19世紀であり、従来考えられなかった化学物質が石油から合成されるに至ったのは20世紀であった。 化学肥料や合成殺虫剤は農業を激変させ、農産物生産量の増大をもたらした。

反面、負の効果をもたらし、科学が自然体系の一側面しか解明していなかったことが次第に明らかになりつつある。

合成殺虫剤の弊害を憂慮する余り、必要な栄養素のみ選択して管理された工場内において植物を栽培する農法も考案されている。

必須栄養素といった主要項目は既に解明されているとはいえ、微量栄養素まですべて明らかになったとは到底いえない。

人体に摂取される化学物質についても、有害性のすべてが解明されたわけではない。

アジサイの葉が疑われる中毒の記事が新聞に掲載されていた。(読売新聞 平成21年3月18日他) 青酸配糖体をはじめ、他の分析も実施されたが、原因を特定できないとされる。

科学万能とする見解があることは承知している。しかし、決してすべてが究明されたのではないことを銘記すべきである。

ノーベル賞受賞の物理学者の書いた著書が教科書として不適と評されたのはご存知だろうか。理由は、対立する理論を併記して結論を出さないから、とあった。

科学を、理解可能な範囲での体系化と解すれば、結論を出すことは必要である。しかし、理解不可能な領域が存在するのであれば、検挙に各論併記すべきであろう。

発達障害は、現代医学では、原因すら特定できていない。原因究明が各方面から模索されていることは言うまでもない。定説といえる原因が、その延長線上にあるか、全く意外な方面から発見されるか、いずれの場合であっても、その日の近いことを期待したい。
平成21年4月1日から平成21年5月1日まで掲載。
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歳時記

 暑さ寒さも彼岸まで
季節の移り変わりとともに、区切りのつく時期として言い習わされてきた。

春に近づくのと対照的に、経済情勢は長い冬に入ろうとしている。歴史をさかのぼれば、昭和4(1929)年に始まった恐慌は、アメリカにおいてニューディール政策により、景気回復の道をたどった。

これに対して日本では、回復の糸口がつかめず、戦争への道を進んだ。

両者の差は、政府介入度合であったかもしれない。資本主義の修正ともいうべき公共事業が、ニューディール政策の一環であった。資本蓄積の不十分な日本では、効果のある公共事業を実行した形跡が見当たらない。

発達障害の対策には種々の方法が考案されている。その1つがABA(応用行動分析)である。早期集中介入と説明されるこの方法は、幼児期に週40時間を目標として、集中的に訓練をほどこす。

効果の判定は、実施機関に委ねる他ない。学びたいのは、幼児期に集中的に実施する点である。

先のニューディール政策と軽々に比較することは避けるにせよ、散発的に実施するのみでは効果が少ないことを銘記すべきである。

保護者の確たる信念が問われるところである。

日本政策金融公庫の実施した食に関するアンケート調査結果が発表された。(平成20年12月実施)

経済性志向が34.6%で第1位。以下、健康志向32.7%、安全志向31.7%と続く。

前回調査(平成20年5月実施)と比較すると、経済性志向が4位から一気に1位に浮上し、安全志向は1位から3位に沈んだ。

食品安全事件、サブプライム問題の直後のアンケートであるため、世相を敏感に反映した結果と言える。

極端な差ではないにせよ、安全志向の後退は、発達障害児をもつ保護者としては看過できることではない。

歳月人を待たず。子供の成長は治療法の確立を待ってくれない。

成長期にあるタイミングでこそ、療育等の手段が生きることを自覚して戴きたい。
平成21年3月2日から平成21年4月1日まで掲載。
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歳時記

 薬は毒にもなる、とは古くから言われる。

副作用を上回る薬効があれば救いがある。しかし、発達障害に効果のある薬はまだ開発されてないであろう。

誤診によるとはいえ、発達障害児に多種類の薬を投与した記事は、発達障害への認識不足を改めて感じさせる。(平成21年1月19日付 読売新聞)

医師を信頼することが大切なのは言うまでもない。しかし、発達障害に関する限り、生活を共にして我が子の一挙手一投足を観察する保護者が、自分の直感を信じて欲しいと思う。

他の子とどこかが違う、と感じるのは、注意深い保護者なら可能なはずである。

化学物質が発達障害の原因と示唆する論文は、今まで数多く発表されている。これが原因のすべてとするのは早計だが、無視することは再早でいない。

仮に、体内に化学物質が残留して発達障害を発症しているならば、さらに化学物質たる薬を体内に入れて、どのような結果がもたらされるであろうか。

化学物質同士の相互作用が判然としないまま、薬に依存することは、是非、避けていただきたいと思う。
平成21年2月6日から平成21年3月2日まで掲載。
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歳時記

平成20年から21年に向けて

この時期、平成20年から平成21年に移ろうとする時にあって、想起されるのは食品に関する事件である。

大別すれば、偽装と有害物質とになるであろう。

偽装(使い回しを含む)に倫理上問題があることは言うまでもない。ただ、健康被害に直結することは少ない。

これに対して、有害物質混入は健康に影響する場合が少なくない。現に、メタミドホス混入のギョーザでは、直ちに被害が出た。

しかし、本当に恐ろしいのは「健康被害の訴えはない」とする見解である。

化学物質に曝露した場合、その影響は親よりも胎内の子供により多く現れる。さらに、胎児への影響は成長するまで現れない場合がある。

この防衛策はギョーザ事件で触れた。食材からの自作である。

新幹線の車中、妙齢の女性と話をする機会を得たことがある。話題が発達障害に及び、食材論議となった。

聞くところによれば、彼女の家庭では近隣の知人と語らって、一定の農家から野菜類の一括購入をしているという。

「顔の見える生産者」は最近のスーパーマーケットなどでしばしば見かける。しかし「顔の見える消費者」は比較的少ない。生産者が消費者の顔を思い浮かべるなら、自ずと産物に差が生ずるであろう。

家族に提供する食事を食材から作り、食材の調達も流通者まかせにしない。この対応は現代にあって希少価値がある。

混ぜてしまえば分からないとうそぶく食品業者がいると報じられたことがある。このような業者が後を絶たない以上、自衛策はやはり自作であり、出来れば自己調達である。

食材の調達にまで配慮する彼女の母親は、賞讃に値する。それでも、指導が十分とは言い切れない。

話を聞き終えた彼女の発したのは「子供が生まれたら気を付けます」という感想である。しかし、これでは遅いのである。

化学物質の影響は用量よりもタイミングであるとは「奪われし未来」で繰り返し指摘されるところである。

「沈黙の春」は、英書購読で読んだと彼女は言った。しかし、同書の論点は癌(ガン)に、「奪われし未来」の論点は初版を読む限り生殖障害に集中したきらいがある。

ヒトの行動発達障害にまで神経を配った注意喚起を呼びかけずにいられない。
平成20年12月1日から平成21年2月6日まで掲載。
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発達障害療育研究所
アスペルガー症候群(高機能自閉症)を中心として

 周産期あるいは乳児期における

   これら有機金属を含む環境汚染物質への曝露は、

     その後の脳神経系の発達に

       深刻な影響を与える可能性がある。

            (「有機金属(スズ、水銀など)と行動発達障害」より)
                白川誉史、加藤進昌、今井秀樹
              BRAIN MEDICAL 2004年12月号所収


 発達障害の原因は有害ミネラルにある。開設時、本サイトはこの前提を置いた。
だが、学習が進むうちに、有害ミネラルは原因物質の一部に過ぎないと考えるに
至った。

 発達障害の原因に定説はないが、一般的に、脳機能の障害と説明される。では何故脳機能に障害が起きるか、その答えを示す専門家は多くない。

 環境ホルモンは、正しくは、内分泌攪乱化学物質をいい、桁外れの種類がある。単独の化学物質が有害でないレベルの濃度であっても、複数の化学物質を同時に摂取すれば有害レベルとなり、発達障害の症状を起こす可能性が示唆される。この研究成果が、上記雑誌にも掲載されている。

 水銀、カドミウムなどの有害性は既に知られている。水俣病、イタイイタイ病は決して過去のことではない。ことに胎児性水俣病は、母親から胎児に水銀を引き継ぐという点で、現在でも教訓を投げかけている。

 環境ホルモン、有害ミネラルと、発達障害との関連は、上記医学雑誌のみならず、いくつかの論文等で散見する。ただ、議論を呼ぶほどにはマスコミで取り扱われない。

 マスコミで大きく扱われたのは、水銀と自閉症との関連(平成16(2004)年3月放送)、食生活とADHD(注意欠陥多動性障害)との関連(平成18年9月放送)であろう。

 いずれの場合も、発達障害児を持つ保護者等から反論があり、後者のケースでは放送局が謝罪することとなった。

 ADHDに関するNPO法人と放送局との直接交渉(メールでの厳しいやりとり)があったにもかかわらず、上記雑誌などの論文を引用した形跡が見られない。報告書、論文の公表から3年前後が経過するのに、ほとんど無視に近い。

 総じて、発達障害は原因不明、有効な対策なし、というのが論調であるかのようである。このため、発達障害は一生涯治らないとする観念がホームページの主流のように思える。

 しかし、一部の医師は原因を特定し(推定の域を超えないかもしれないが)、治療を試みている。有害ミネラルが原因であるとして、キレート剤を投与する方法、各種サプリメントを使用する方法を実践する医師が米国には登場している。

 キレート剤に副作用があることは既に知られており、天然成分を抽出したとされるサプリメントでさえ、分量次第で健康被害をもたらすことが報じられた。これらを用いることは、本サイトの目的ではない。

 本サイトの取る手段は、食事療法等による有害物質の排泄である。農薬、添加物などの少ない食材を子供に与えて副作用があるとは到底思えない。課題があるとすれば、現代社会でその食材の調達をどの程度徹底できるかに尽きる。

 膨大な種類の原因物質から、いかにして子供達を守ればいいのか、茫然とたたずむ思いがする。これを承知の上で挑戦しようとする人達だけ、本サイトを訪問していただきたい。
平成21年1月26日まで掲載。
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歳時記

這えば立て、立てば歩めの親心

子供が健やかに成長して欲しいと願うのは、親として当然の心情である。 成長過程を仮に、這い這い(はいはい)、立つ、歩くと分けてみると、仲にはいきなり立つ歩くということを期待する親がいるかもしれない。しかし、これは発達のためにはの望ましくないことをご存知だろうか。

這い這いは、二本足歩行に至るための成長過程である。そして、這い這いすることは、手と足との連動運動でもある。この動作が脳に刺激を与え、発達を促すのである。

映画などで、数学者、哲学者が雑木林を散歩しつつ思索にふける場面をみたことはないだろうか。各種の思考方法はあるだろうが、歩行が頭脳を刺激することは間違いないところである。 這い這いは、また、人のみが持つ発達段階であり、必要不可欠の過程である。 仮に、這い這いをしないで、又は、させないで、いきなり立つ、歩くという練習をさせるとすれば、論外のことである。赤ちゃんが自分で立とうとしても同じである。

這い這いをしないのであれば、これをするように仕向けて、手足の連動運動を練習すべきである。

這い這いに異常がある場合については別稿とし、月齢8か月頃に始まる、この成長過程を大切に扱って戴きたい。

有名プロレスラーがかつて語ったことがある。「自分の体重を使う方がウェイトトレーニングより効果がある」と。

体重100キログラムのレスラーが逆立ちして腕屈伸するのと、同重量のバーベルを持ち上げるのとでは、前者の方が効果がある、と言いたいのである。

誤差を省略して解釈すれば、全身運動であるかどうかの違いである。

逆立ちすれば、腕に負荷がかかるのみならず、全身が平衡を保つために反応する。更に、体内ではさまざまな生体反応が起きているであろう。

体内は、小宇宙といわれる。複雑なメカニズムにより構成され、運用されている。そして、そのメカニズムの詳細は、ほとんど解明されていないのである。
平成20年11月5日から平成20年12月1日まで掲載。
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歳時記

 事故米(汚染米)が食用として取り引きされたとする事件が連日のように報道されている。

ギョーザ事件で話題になった殺虫剤メタミドホスがここでも登場した。ギョウザ事件で発生した直接被害が、現在のところ出ていないと報道されている。他の食用米とブレンドしたり、粉米などに加工されたことが一因かもしれない。

しかし、これで納得できるほど問題は簡単ではない。メタミドホスその他が、内分泌攪乱化学物質と言っていいかどうか調査していないにせよ、仮に同じ作用の物質があれば微量で作用する。長年月を経過して作用するといった特性があるかもしれない。

古典的な意味での毒物は、基準値以下であれば人体に影響を与えないとされる。しかし、内分泌攪乱化学物質に関しては、基準とされる容量はほとんど分かっていない。

問題となる加工品等につき、化学物質含有分析をするとしよう。分析結果に「検出せず(検出下限値××ppb)」と記載されているとして、無条件に無害と信じるべきだろうか。

この記載では、下限値まで「ない」という証明はできるが、下限値未満は証明できない。「ない」という可能性は当然ある反面、「ある」という可能性もあるのである。

法律の世界では「ない」という証明は「悪魔の証明」という。証明することは不可能という意味である。

内分泌攪乱化学物質の厄介なところは、ppb(10億分の1)ppt(1兆分の1)といった微量でも人体(特に胎児・乳児)に悪影響を与える点である。

ギョーザ事件以後、ギョーザその他を手作りする人が増えていると思われる。玉葱をきざみ、ひき肉をこねる人はいるだろうが、ギョーザの皮まで手作りする人は少数であろう。

まことに再現がないという他ない。
しかし、出来る範囲でかまわない。是非、手作りの食事を心がけていただきたい。
平成20年10月2日から平成20年11月5日まで掲載。
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歳時記

 遺伝子とは鍵盤であり、ホルモンとは作曲家なのである。
――― 奪われし未来 ―――

ホルモンを適時に適量を与えることの重要性を伝えるため、一般向けにたとえたのが上の引用文である。

  ミュージックロールは、現代日本ではなじみが薄い。厚手のロールペーパーの必要箇所に穴をあけ、これに従って自動ピアノの鍵盤を叩く仕掛けである。

概略的にはこれで理解できるとしても、少し考えると疑問が湧いてくる。

素人から見ると、楽譜に記された音符に従って、ピアノの鍵盤を叩けば作曲家の意図する音楽が再現できるように思える。

しかし、音楽家は楽譜を見て、曲のさまざまな解釈を試みている。同じピアノを用いて、同じ楽譜により演奏しても、専門家が聞けば個性がありありと感じられるそうである。

楽譜や文章で表現し尽くせない感情や思考が、いわば言外の言として存在すると言えよう。

発達障害児がピアノ練習に取り組み、有名ホールで演奏を披露するとの報道があった(平成20年1月1日、毎日新聞) 報道は、あわせて、音楽性の理解への疑問をも紹介している。やはり、ミュージックロールが音楽性を持つとは考え難いのである。

発達障害と音感に関する明確な研究には接していない。しかし、発達障害児が騒音に過剰に反応することは既に知られている。

いずれ研究者による解明がなされるにせよ、言葉や記号で表現できない何かがあることを肝に銘ずべきであろう。
平成20年9月1日から平成20年10月2日まで掲載。
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歳時記

 こうした農業は逆に害虫による大打撃をこうむるようになったのである。
――― 奪われし未来(増補改訂版)より ―――

「こうした農業」とは農薬を使う農法を指す。DDT(既に禁止されたが)をはじめとする農薬を使用して害虫を駆除する農法は、いくつかの影響をもたらす。

1つは、害虫が耐性を備えることである。耐性をもつ害虫を駆除するために同種の農薬の量を増やしても効果は少ないであろうし、他種の農薬を開発しても、再び耐性をもつに至ればイタチごっこに他ならない。

今1つは、輪作などの知恵を失ったことである。数百年をかけて培われてきた自然との共生農法が、わずか数十年で農薬使用により大きく変化した。

害虫を駆除しても人体に害がない(と当初言われた)農薬は、大量に使用され、人体に影響を与えつつある。これが本書のテーマであり、最大の影響である。

仮に人体への影響を別問題とするとしても、農薬に頼る農法は耐性を備えた害虫その他により打撃を受ける結果となる。

農作物は、植物であり、生き物である。害虫などに対応して植物も又恐るべき能力を発揮する。動物のメスを標的とした植物の知恵が本書に紹介されているのは、注目に値する。

このような対応能力を、農薬は退化させるのではないか。

平成19年歳時記で、無農薬の梅を紹介した。キズがあることも写真で示した。

この年の梅は、冬の凍害で打撃を受けたと聞く。しかし、この農家の梅は、農薬を使う近隣農家ほどには影響を受けなかったそうである。推測であるが、農薬を使っていないことが梅本来の生命力維持につながったのかもしれない。これにより、春以降の回復が可能だったようである。

消費者が見た目で食材を選択すれば、生産農家は農薬を多用せざるを得ない。しかし、消費者が選び方を変えれば農家もまた変わるであろう。

このことが、農薬使用を控えた食材増加につながる。
平成20年8月1日から平成20年9月1日まで掲載。
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歳時記

今年も梅の季節がめぐってきた。梅酒、梅干しの漬け込みは、平成19年の歳時記に紹介したので、ここでは繰り返さない。

梅酒を漬け込めば、梅酒と共に甘味のついた梅が手に入る。梅干しならば梅酢ができる。

これらの副産物(というより連産品)は捨てずに食べ尽くしていただきたい。梅農家が丹精込めて育てた梅を、一部の利用で終わらせるのは礼を失すると思う。

それと同時に、可食部分の全体を食べることが自然の摂理ではないか。小魚は頭から食べ、中型の魚でも頭などは「あら」として煮魚に利用できる。

鯨に至っては、19世紀日本人の文化に圧倒された異国人がいた。(出典が思い出せない)可食部分は全て食べ尽くし、ヒゲはからくり人形の動力源となった。

食べ尽くしは、使い回しと全く異なる考え方である。船場吉兆が犯した使い回しは、食べ残す客にも多少の責任がある。出された料理を残さず食べるという客ばかりであれば、使い回しは殆ど不可能に近い。

これと共に、食べ残しを許した店側の責任はやはり重い。

昭和の時代には、街のラーメン屋にも食べ残しを許さない店主がいた。ラーメンの汁まで全部飲まないと(年配者には酷だが)次から店に入れてもらえなかったのである。

マスコミには、レモン×個分のビタミンC、天然エキス分を凝縮した錠剤といった広告が幅を利かせている。 しかし、それで本当にバランスのとれた食生活が送れるのだろうか。蛋白質、脂肪、炭水化物といった基本栄養素なら、今では小学生でも知っている。にもかかわらず、専門家でも未知の栄養素は今でも残されている。 それを考えれば、これ一粒(又は一箱で)必要な栄養素がすべて摂取できると考えるのは浅薄であろう。むしろ、自然の食物を多種にわたって摂取することが、人体の成長、維持に欠かせないところである。

梅の達人は梅干しの種からも過食部を取り出すと聞く。そこまで出来なくとも、せめて解説書を頼りに、梅酢料理や梅ゼリーに挑戦していただきたい。
平成20年7月1日から平成20年8月1日まで掲載。
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歳時記

「化学物質の体内残留」

変化しているのは大気の化学組成だけではない。
その影響は私たち自身の身体の組成にまで及んでいるのである。
奪われし未来(増補改訂版)より
シーア・コルボーン
ダイアン・タマノスキ
ジョン・ピーターソン・マイヤーズ共著

著者らは、ヒトの身体に化学物質が残留する事を指摘し、生殖異常を中心に影響を紹介した。
ヒトの発達障害については、初版での言及は少なく、坊舗改訂版で注意欠陥多動障害(ADHD)を明示したにとどまり、自閉症・アスペルガー症候群には触れていない。
「恐怖の食卓」に関して別項で紹介した。番組内容自体は、脂質の多い食材を中心とした食卓を続けるとADHDになりやすいという趣旨であったようだ。
本書の出版(日本語版)は、初版が1997年、増補改訂版が2001年である。従って、放送内容が問題となった当時、専門家ならずとも日本語で読むことが可能であった。
しかし、表面的に見る限り、本書を読んで議論した形跡が見られない。繰り返しになるが、残念でならない。
脂肪分摂取だけでADHDになりやすいと主張すれば疑問が湧く。しかしPCBなどの化学物質が一旦生体内に入れば、脂肪に残留しやすいことは本書も指摘するところである。適齢期に至る女性が、そのような食生活を継続し妊娠すれば、化学物質を胎児に引き渡すことも本書の指摘通りである。
一部の化学物質は、脳の発達をおびやかす。この疑念は科学者から既に警告を発せられた。(増補改訂版P.367)
脂肪分を過剰に摂取することは、とりもなおさず化学物質を摂取、体内に残留させることであり、脳の発達障害につながる可能性がある。このような指摘は、それほど的はずれではあるまい。
初版で発した警告は、むしろ控えめだったくらいである。
増補改訂版に記された著者らの感想である。
本書のような警告書を十分に参照して制作していれば、親の会の反応も異なったのではないかと思われる。
平成20年6月2日から平成20年7月1日まで掲載。
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歳時記

【菜の花とロレンツォのオイル】

平成19年3月の歳時記で菜の花を取り上げた。

菜の花は、鑑賞のみならず、菜種油、おひたしとしてもなじみがある植物である。日本産菜種油は、更に、映画「ロレンツォのオイル」でも知られるそうである。(平成20年4月9日付け毎日新聞夕刊、辻啓介教授稿)

映画自体は、難病患者の両親が息子の特効薬を探し求める物語であり、日本産菜種油を手がかりにして治療薬を突き止めた、と書かれている。

対象となる難病は、副腎白質ジストロフィー(ALD)であり、発達障害とは異なる。しかし、医師でない両親が子を救うため尽力するさまは、感動を呼び起こすこと、言うまでもない。

発達障害の子を持つ親のホームページを閲覧すると、この映画を紹介するコーナーがあり、映画を見ての感想が散見される。感動した、と書くのは当然であろう。しかし、閲覧した中で、発達障害児に関して行動を開始したという書き込みが見当たらない。

各種療法を試すサイトが存在する以上、閲覧範囲に偏りがあるということになるのだが、映画の感動を、できれば行動に移して欲しいと願わずにいられない。
平成20年4月23日から平成20年6月2日まで掲載。
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歳時記

【いかなごのくぎ煮】

昨年、平成19年は、いかなごが不漁であったため、生の状態で店頭に並ぶことが少なかった。関西地方を中心に春の風物詩として知られるいかなごは関東では小女子(こうなご)と呼ばれる。

今年の解禁日は2月28日であったが、3月5日、明石海峡での船舶衝突事故のため、周辺海域を禁漁とした。さらに、3月15日から17日まで、より広い海域の漁も自粛する、と報じられた(JF兵庫漁連ホームページより)。

それでも、昨年に比べれば店頭に出回るだけの量は確保できているようである。

次に示す写真のいかなごは、三重県産である。煮方は、各種のホームページを参照していただくとして、やや特徴的な点を指摘しておきたい。

いかなご 1キログラム
黒糖 230グラム
たまり醤油 230グラム
みりん 150グラム
酒 50グラム
土ショウガ 70グラム

いかなごを使ったくぎ煮の作り方を比べると、調味料などには微妙な差がある。味については各家庭の好みであるから立ち入るつもりはない。

しかし、砂糖に関する限り、黒糖、せめて三温糖を使っていただきたい。せっかく手作りするのである。ミネラルを含む黒糖などを使うことは、ミネラルバランス改善のひとつの要素である。

癖があることに難色を示す方もいるかもしれないが、レシピなどを参照すると、水飴を入れるとするケースが散見される。栄養素を第一に考えれば味は二の次になるにせよ、水飴または蜂蜜を利用すれば、子供には食べやすいのではあるまいか。

くぎ煮のたれと称してパックが売り出されている。これだけは避けていただきたい。上記の工夫の余地がかなり制限されるからである。


1時30分頃店頭に並んだいかなご。2時から作業開始。


黒糖、たまり醤油、みりんでたれを作る。


土しょうがを千切りにする。


いかなごを一度に入れるという解説と、3回か4回に分けて入れるという解説がある。これは、3回に分けて入れたところ。


落としぶたをかぶせて煮詰める。かき混ぜるのは厳禁と解説書に書いてある。


解説書には50分程度煮詰めるとあるが、40分足らずで煮汁が無くなったので、火を止めた。たまり醤油、黒糖が影響しているのかもしれない。


煮汁を捨て、冷ますと出来上がり。約600グラムのくぎ煮となった。
平成20年3月19日から平成20年4月23日まで掲載。
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歳時記

【中国製ギョーザ事件】

中国製冷凍ギョーザに農薬が混入していた事件は、教訓を我々に与えてくれる。 大切なことは、自分たちが食べるものは自分で作ることである。

家庭菜園に種を蒔き、自宅に家畜を飼って食糧を自給せよとは言わない。しかし、挽肉を買い、野菜を刻んで市販のギョーザの皮に包む程度の労力は、是非かけて欲しいと思う。

ところが、テレビ番組でのアンケート結果によると、事件発覚直後でさえ、今後ギョーザを自作すると回答した人は55%(残りは今後も冷凍ものを使用)にとどまる。これが全国民の意識と短絡的に判断するつもりはないにせよ、食の安全を守るには心許ない限りである。圧倒的多数が手作りと回答したわけではないのである。

簡単クッキングは紹介しない、別項でこのように書いた。しかし、質問欄、懇談会の反応から推し量れば、質問者の方々は、薬などで発達障害が改善すると思いこんでいる節がある。

本サイトでいう療育の必要条件は、手間暇かけた手作りの食事療法である。面倒というのは分かるが、子供に合わせた栄養素を提供しようとすれば手作りにならざるを得ないであろう。糖尿病食など一部専用食が市販されているとはいえ、発達障害児向けの専用食はまだお目に掛かっていない。

梅干し、らっきょうの漬け込みは平成19年に紹介した(過去の記事参照)。梅干しは特に、他の料理への応用範囲が広い。梅の花が咲く頃になった今、梅干しの漬け込みを端緒として、療育を志していただきたい。
平成20年3月1日から平成20年3月18日まで掲載。
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歳時記

 細菌の全遺伝子 化学合成

  米研究所が成功

   「人工生命」へ可能性

             平成20年1月25日付け 日本経済新聞


 アメリカのJ・クレイグ・ベンター研究所が、細菌のすべての遺伝子を化学合成することに成功した、という新聞記事が掲載された。同研究所は人工生命作りに挑戦していることで知られる。

 かつて、化学は生命活動により生成されるか否かで有機化学、無機化学に分類された。ところが、1828年、化学反応により尿素が生成されたことから、有機化学は炭素化合物の化学と定義されるに至った。

 さらに、生命活動のためには無関係と思われていた金属などの物質も生命維持のために必要であることが次第に明らかになり、錯体化学、生物無機化学といった分野が生じつつあると聞く。

 環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)が発達障害の原因物質であることを示唆する論文が公表されたことを思い起こせば、化学は一体どの方向に向かっているのか、不安と疑問が錯綜する。

 化学肥料を使わない食材は、一見、原始的である。しかし、自然は人知の及ばない壮大な化学反応を営んでいる。このことを最も良く知るものが、偉大な化学者かもしれない。

 遺伝子化学合成技術は、iPS細胞のように臓器移植の代替技術として発展して欲しいと思う。豊かな生活のために開発された化学物質が、もしも発達障害の原因になるなら、これ以上悲しい話はない。
平成20年1月30日から平成20年2月29日まで掲載。
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年頭に当たって

人間は太古から、なにかを食べて生きてきた。

気の遠くなるような人間のながい歴史の中で、いま、きょう、その食べる物に、はじめて、なにか異常なことが起こりはじめている。

いままでこの体の中に入ったことのない物質がどんどん体の中に入りはじめている。

       暮しの手帖 第91号 1967年刊
           「この大きな公害」巻頭言より抜粋

 日付、というより発行年を見ていただきたい。1967(昭和42)年、40年前である。

 この号の特集では、巻頭言に続き、次の7つを事件として紹介している。

1. 黄変米
2. 砒素ミルク
3. 水俣病
4. サリドマイド
5. 人工着色料
6. 人工甘味料
7. 農薬

 当時の特集では、砒素ミルクなど因果関係の明らかな場合を除き、漠然とした不安を指摘するのみであり、発達障害との関連にはなんら言及していない。

 しかし、その後アメリカでは水俣病にヒントを得て、有機水銀と発達障害との関連を指摘する研究が公表され、日本のテレビでも放送された(平成16年3月)。

 当サイトでは、開設当初、有害ミネラルが発達障害の原因とする仮説を置いた。しかし、水銀など少数を除けば、有害ミネラルと発達障害との関連の研究結果は見いだせていない。これに対して、化学物質と発達障害との関連を示唆する研究成果はいくつか発見できた。

 環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)とその膨大な組み合わせの中から、発達障害との未知の関連が解明されることを期待する。この解明は、子ども達を原因物質から防護する一助になるであろう。

 平成19年の年頭で、「有害ミネラルが原因の発達障害児救済の元年」となることを願う、と書いた。念願は叶わなかったが、決意を新たにして再スタートの年としたい。
平成19年12月28日から平成20年1月29日まで掲載。
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歳時記

 さまざまな戦線があった。

  数々の作戦が試みられた。

   傷つき倒れた者たちもいた。

          Donna Williams “Nobody Nowhere”
             河野万里子訳「自閉症だったわたしへ」より


 本サイトを開設して1年になる。その間、少数の関心派と多数の無関心派とが本サイトを去来した。関心派とは、有害物質排泄による療育に関心を示す保護者であり、無関心派とは、この療育に関心を持たない保護者である。

 冒頭の引用文は、アスペルガー症候群(邦題では自閉症となっているが、本文を読むとアスペルガー症候群に近い。)に苦しむ著者の半生記からとった。著者にとって、「世の中」との関わり合いは、「戦い」であった。

 別段、戦争を賛美するつもりはない。しかし、公害被害者、拉致被害者の家族会などの会見でもしばしば「戦い」と言われるため、今ではそれほど違和感なく使えると思う。

 環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)、有害重金属が発達障害の原因であるなら、または、これらを原因とする発達障害があるなら、子供を原因物質から守るのは、正に防御戦である。

 見えざる敵は、しかし、余りにも多い。かといって、防御し掃討する必要は、眼前に迫っている。

 近年の研究で、作戦のいくつかは方向性を与えられた。戦線を切り開くのは保護者であり、発達障害児自身である。本サイトは、その後方任務を担いたい。
平成19年11月30日から12月28日まで掲載。
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歳時記

 おれは河原の 枯れすすき

 同じお前も 枯れすすき

    野口雨情「船頭小唄」(大正10(1921)年発表)より


 療育に関する質問、懇談会を通じて感じるのは、治癒を目指す信念がやや乏しいこと、ましてや、薬に頼らず治癒を目指す意欲が乏しいことである。一生涯治らないとする医師の言葉を信じることも原因の一つかもしれない。

 我が子が病気であると言われれば、保護者が真っ先に考えるのは、治癒させることである。しかし、発達障害であること、治療法がないことを医師から告知された時、保護者が取る行動はどのように変わるだろうか。

 治らないことを前提として、「発達障害を受け入れる」とするあきらめにも似た意見がホームページなどに氾濫しているように思える。発達障害児を持つ保護者が、他の保護者の相談に乗り、障害を受け入れることを勧める様は、上記の歌詞に共通するのではないか。

 あらゆる努力をした保護者が、万策尽きて上記の気分になるのは、理解が得られるかもしれない。しかし、努力をしない保護者が他の保護者を引き込むのは、理解に苦しむ。

 どうせ二人は この世では・・・

などと遁辞めいた意見に賛同するのであれば、このサイトは不要である。

 しかし、流れに棹さす意欲のある人達は、子供のために療育を試みていただきたい。
平成19年10月31日から11月30日まで掲載。
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歳時記

【虫の声】

 長かった残暑が終われば、秋風と共に虫の声が耳に届く。

 都会に住む人にとっては、本物の虫の声(羽をすりあわせて音を出すそうだが)を聴く機会は比較的少ないであろう。東京都心で鈴虫の声を聴くとすれば、中国からの外来種が多いと新聞記事に書いてあった記憶がある。

 子供をピクニックなどに連れて行くとすれば、少し夜が遅くなっても、在来種の鈴虫の声を子供に聴かせる環境を与えて欲しいと思う。

 CDやDVDでいいではないか、という声が聞こえてきそうである。しかし、本物と録音はやはり別物である。

 科学館かどこかで虫の声を当てるコーナーがあった。ここで、正解を連発する一人の児童に対し、係員が「きみ、どこに住んでるの?」と聞いていた。何故こんな質問をしたのかを係員に聞いてみると、普段、本物の虫の声を聞いていないとこれだけの正解率は上げられないと答えてくれた。

 発達障害児の一部には、音に過敏に反応する傾向があり、騒音に反応して耳を塞ぐ。しかし、生き物の音が入り交じる森などには高周波音が多く、脳幹や視床下部の血流が増えるそうである。

 本物の音を身体で感じることが有害とは思えない。秋の夜長を在来種の虫と共に過ごしていただきたい。
平成19年10月2日から10月31日まで掲載
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懇談会のお知らせ

質問コーナーに寄せられた意見を読んで感じたことを、体験に基づいて直接お伝えする場を設けたいと思う。
第一に感じるのは、療育が比較的単純と誤解されていることである。簡単な訓練で症状が改善するということは現段階ではあり得ない。キレート剤などを使わないとなればなおのことである。別項でも書いたが、手間暇を惜しむなら、本サイトでいう療育はできない。
第二に、保護者間で意見が分かれることである。意見の一致がない場合、原則として療育はお勧めしない。

1.日   時 平成19年10月8日(月、祝日)午後2時から午後4時
2.場   所 当サイト事務所(大阪府、詳細は申込者に通知)
3.費   用 無料
4.参加資格 発達障害児の保護者であること
5.申込方法 質問欄からメールで申込、参加人員、駐車場の要否を記載
平成19年10月8日まで掲載
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発達障害・・・。

 自閉症、アスペルガー症候群(高機能自閉症)を代表例とする広汎性発達障害は、医療現場、学校現場を初めとして次第に知られつつある。

 発達障害は先天的な脳の傷が原因であり、生涯治らない、とする説が多数説である。そうだろうか、という疑問を提起するのが本サイトの趣旨であり、1つの解答を出しているつもりでもある。

 近年の研究で、発達障害の原因は、遺伝的要素と併せて環境ホルモンの影響を指摘する説がある。また、自閉症は水銀の体内蓄積が原因とする見解があり、テレビ放送された。これに対して自閉症児を持つ医師らから明確な反論が出された。

 アスペルガー症候群に限りなく近いと診断された1人の児童を回復させた経験を披露したい。希望者には、この経験を踏まえ、症状の改善を目指して戴きたい、そういった願いから本サイトを開設した。

 発達障害に関する書籍、ホームページは数多い。しかし、大部分は症状への個別対策、情報交換であり、原因にまで踏み込んで対策を紹介した例には、残念ながら、ほとんど接していない。多くの発達障害児に接したわけではないので、科学的分析とはおよそかけ離れた説明しかできないが、子供のために何かせずにはいられないという保護者は一読して戴きたい。

 本サイトでは、発達障害が有害ミネラルに関連するとする説に立って説明を進める。この説は定説でも多数説でもないが、仮に有害ミネラルが原因で起きる発達障害があるのなら、これら児童だけでも救済することは意義あることと思う。

 判断基準は、毛髪検査である。体内に有害ミネラルが蓄積していると毛髪検査から推定されたなら、その排出を実行することにより改善の道が開けるであろう。

 キレート剤を投与して有害ミネラルを体外排出する治療法は既に知られている。しかし、副作用があることも知られており、保護者としては二の足を踏むであろう。本サイトで紹介するのは、キレート剤を使用せず、食事療法と刺激策との併用により体外排出する方法である。
平成18年12月7日から平成19年9月30日まで掲載
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歳時記

【らっきょうの漬け込み】

 梅酒の容器がスーパーマーケットの店頭などに並ぶ季節となった。根付きのらっきょうも出回り始めるであろう。

 今では、インターネットを介して産地から直送が可能である。泥付きのらっきょうを調達して、家庭で甘酢らっきょうを漬け込んで戴きたい。

 保存料も着色料も使わないらっきょうは、手間を惜しまなければ家庭でも作ることが出来る。根切りの時は手がべとつくなど、きれいな作業とは言えないが、療育の一環と割り切るべきであろう。

 5月のこの時期は、芽と根を切り、塩漬けにする段階である。

 らっきょうの漬け方は、検索エンジンで検索すればいくつかの方法が紹介されている。漬け方には好みが出るであろうから、ここでは一点だけ、塩漬けに使う「塩」に留意して戴きたい。

 塩化ナトリウム99%も「塩」であるが、家庭で漬け込みするのであれば、海水を蒸留してミネラル分を残した「塩」を使うことをお勧めする。塩漬け後2週間たつと、今度は塩抜きをするため、らっきょうに残るミネラル分は僅かであろうが、地道にミネラル摂取するためには必要な工程である。


5月26日収穫の無農薬らっきょう。27日、早くも芽が出始めている。


5月27日、塩漬け開始直後。


5月28日、乳酸発酵が始まっている。2週間、塩漬けを続けることとなる。


【らっきょうの漬け込み(続)】

 5月下旬に塩漬けを始めたらっきょうにつき、2週間以上経過したため、今度は、塩抜きである。

 塩抜きには、24時間、流水で行う方法と、1日3回程度、2〜3日をかけて水を交換する方法とがある。水を節約するという意味では後者の方法になるが、各自の事情により、選択していただきたい。


【梅干しの漬け込み】

 6月中旬になると、地域により異なるが、梅干し用の生梅が店頭に並び始める。

 自家製の梅干しを漬けると、梅干しと梅酢とが一挙に手に入る。完熟した生梅の香りにつつまれ、梅酢の香りを楽しむ絶好の機会であると共に、療育の一環である食材の準備を年中行事とすることをお勧めする。

 家庭で用意する材料自体は大変少ない。生梅と塩だけである。せいぜい、消毒用の焼酎が加わる程度である。発色剤などを仮に使うとすれば療育の本旨に反するので、当然避けていただく。

 もっとも、道具は、漬け物容器、中蓋、竹串、ふきん、えびら(ざる)など、1年に1回しか使わない割には数が多い。道具代で割高になると経済計算する方もおいでかもしれない。しかし、数年、漬け込みを続ければ割安になるし、療育のためには経済性を犠牲にしていただきたい。

 材料のうち、生梅は、減農薬、有機肥料のものが入手できればそれに越したことはない。

 今一つ、塩は是非海水からできた塩(塩化ナトリウム+ミネラル)を使用していただきたい。解説書には、精製塩は梅干しに適さないと説明されているし、ミネラルを食物から摂取するためにも、にがり成分を含んだ塩の使用をお勧めしたい。


無農薬の南高梅。大きさは不揃いで傷がある。


【らっきょうの漬け込み(終)】

 らっきょうの塩抜きが終わると、砂糖、らっきょう酢を加え、1〜2ヶ月待つことになる。

 砂糖を加える際、市販のらっきょうのようにきれいな色のできあがりを期待するなら、氷砂糖を使うことになる。しかし、せっかくの自家製らっきょうである。グラニユ糖が原料の氷砂糖ではミネラル摂取にならない。

 ここは是非、ミネラルを含んだ黒糖を使っていただきたい。真っ黒ならっきょうが嫌なら、余り色が付かない程度の黒糖を入れ、残りは氷砂糖で調整すればいい。


【梅干しの漬け込み(しそ)】

 梅を漬け込むと、2〜3日で梅酢が上がってくる(梅から梅酢が染み出してくる)。


梅酢が上がってきたところ。

 2週間ほどすると、赤しそで着色することになる。こうすれば、赤梅干しを作ることが出来る。この作業をしないと、白梅干ししかできない。

 年輩の方なら塩分を気にすることになる(しそを塩もみするため、塩分は増加する)が、ここは、ミネラルを補充するためと割り切って、赤しそを用意していただきたい。


赤しそを加えた状態。

【土用干し】

 梅雨が明けると、土用干しが待っている。3日連続して晴天の日を見極めて、梅を天日に当てる作業である。土用干しをしないと、梅は単に梅漬けに過ぎない。

 最近の気象事情からすると、急速に雷雲などが発生してにわか雨に見舞われるため、土用干しの3日間は気が抜けない。解説書には、折角干した梅を濡らすのは禁物と説明してある。

 土用干しの効用は、梅の余計な水分をとばし殺菌するため、と説明される。それ以外の科学的効果については分析内容に接していないが、伝統に基づく工程である。


土用干し1日目。赤梅酢に浸って水分をたっぷりと含んでいる。


土用干し3日目。からからに乾いた状態。

【らっきょうの濁り】

 今年のらっきょう塩漬け過程で、一部の瓶に水の濁りが見られた。その他の瓶にはこのような濁りが見られず、原因は不明のままである。

 産地の指導に従えば、噛んでみて酸味がなければ大丈夫ということであった。塩漬けの状態であったから、塩味が十分効いているのは致し方のない所である。
直ちに塩抜きをして熱湯に浸した後、らっきょう酢に漬けたところ、特に異常は見られない。

 梅干しを漬け込む過程では、カビの発生に最も神経を使う。消毒はいくら念入りにしても、し過ぎることはない、とは解説書の弁である。今回はらっきょうでもこの弁をかみしめることになった。


塩漬けの最中。本来なら澄んだ色をしている。

【土用干し、その後】

 土用干しが終わると、瓶詰め(壷でもかまわないが)である。潤いのある梅干しを好むなら夜露を含んだ後の朝、瓶詰めすればいい。

 写真は、昨年の梅干しと今年の梅干しとを並べたものである。一見して、左(平成19年漬け込み)と右(平成18年漬け込み、1年経過)との違いが分かるであろう。左の梅干しは瓶詰め後2週間あまりしか経過していないが、梅干しから滲み出た汁(これも梅酢と聞く)がはっきりと見て取れる。

 品種はいずれも南高梅であり、漬け方などはほぼ同じ条件である。違いを列挙すると、梅の産地、梅の生産方法、日照条件があげられる。

 化学肥料、農薬、除草剤を限定した結果がこれである、などと即断するつもりはない。しかし、遠因の一つくらいにはなるのではないかと推測する。生産農家の言によれば、今年は凍害に遭ったが、化学肥料などを多用している他農家ほどは被害を受けなかったそうである。有吉佐和子の「複合汚染」を読み返しても、似た話の紹介がある。



 他の命を頂戴して生かされている、と書くと宗教めくのかもしれないが、生命力あふれる食材を食することは療育の基本である。これだけで万全と言うつもりはないにせよ、地道な積み重ねを忘れないでいただきたい。
平成19年5月31日から9月29日まで掲載
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歳時記

【漬け込みに備えて】

 桜の花が本州南部では終わり、東北、北海道を残す時期となった。チューリップやツツジが既に開花し、百花繚乱と言っていい時期でもあるが、今回は風流からはいささか、縁遠い話である。

 5月中旬頃から、生(なま)のらっきょうや青梅(あおうめ)が店頭に並び始める。らっきょうの酢漬け、梅酒、梅干し、これらを家庭で漬け込むことを、是非試みていただきたい。

 スーパーマーケットや商店で完成品を買えば良いではないか、そういう反響があるだろうことは承知している。それでも、自家製のらっきょう、梅干しを是非漬け込んでいただきたい。

 理由は2つある。1つは、合成着色料、合成保存料を使用しないためであり、今1つは、天然ミネラルを含んだ砂糖、塩を使用するためである。

 食品添加物が体に良くないことは異論がないであろう。添加物を摂取しても逞しく生きる人たちは問題がないが、そうでない子ども達には、添加物の少ない食品を与えるべきである。

 商店などで販売されるらっきょう、梅干しなどは、説明書きを見れば多くの場合、合成着色料、合成保存料を添加していると記載されている。合成着色料などが積極的に身体によいという見解は寡聞にして聞かない。ならば、合成着色料などを添加しない食品を自ら用意して子どもに食べさせていただきたい。

 多くの場合、らっきょうには砂糖、梅干しには塩を使用している。これをもう少し厳密に検討していただきたい。砂糖、といったら、上白糖と思い込んでいないだろうか。上白糖にはミネラルは含まれていない。また、塩、といったら工業塩と思い込んでいないだろうか。工業塩(食用塩であることは当然だが、塩化ナトリウム99%という意味である。)には、これも、ミネラルは含まれていない。

 ミネラルを食品から摂取しようと思うなら、らっきょうも梅干しも、家庭で漬け込んでいただきたい。療育の初歩である。

 都心では余り見かけないが、郊外ならば、ホームセンターなどで、らっきょうや梅干しを漬け込むための道具を、5月頃から見かけるようになる。少し油断していると売り切れて、来年に期待することになるので、早めに購入して置いていただきたい。梅干しの漬け方、梅干しを使った料理法については、これも5月頃には書籍、雑誌が店頭に並ぶので、1冊、購入をお勧めしたい。

 楽チンクッキングは紹介しない、と別項で述べた。意欲のある人だけ、ご参加いただきたい。
平成19年4月28日から5月30日まで掲載
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歳時記

【春の風物詩】


 敷島の 大和心を

          人問わば

         朝日に匂う 山桜花

               (本居 宣長)


 桜の開花予想が変更になったが、3月下旬の寒波を経て、一部に開花宣言が出たと報道された。

 樹木は一定期間低温にあった後でないと、容易に発芽しない。一定期間低温にあわせた後、気温の上昇により活動の再開を促すことを、休眠打破(きゅうみんだは)という。

 常夏の国では、桜はちらほらと咲くだけのようである。四季のはっきりした日本でこそ桜は進化してきたし、春、一斉に開花する。
 
 瀬戸内海東部の春の風物詩の1つに、いかなごの釘煮がある。

 「いかなご」は瀬戸内海東部で春を告げる魚として有名。漁獲後急速に鮮度が落ちるため、遠距離の輸送に向かない。例年なら、兵庫県南部、大阪では生のいかなごが店頭に並び、家庭で、くぎ煮(佃煮)にすることも珍しくない。

 阪神地区以外では、小女子(こおなご)として知られているかもしれない。

 ところが、今年は不漁のため、生のいかなごが大阪の店頭に並ぶことがほとんど無かったようである。地球温暖化の影響かどうかは即断できないにせよ、現状では、市販の釘煮をご賞味いただくことになる。

 時期を見て釘煮の作り方をご紹介する予定であったが、来年に延期したい。生のいかなごが入手できる人のためにポイントを1つ指摘するとすれば、砂糖は、上白糖でなく、黒糖などを使用する点である。ミネラル分が全く異なるからである。
平成19年3月30日から4月27日まで掲載
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歳時記

【菜の花の季節】


 菜の花や 月は東に 日は西に

               (与謝蕪村)


 暖冬のためか、菜の花便りが例年に比べて早い。テレビ画面に紹介される黄色い花は一面の絨毯のように美しい。

 もっとも、蕪村が見ていた菜の花と同じかどうかは即断できない。アブラナ科の花には違いないと思われるが、セイヨウカラシナ、小松菜など、他の花かもしれないからである。

 幼稚園、小学校低学年の子にとっては、黄色い花でかまわないだろうし、高学年、中学生にとっては、アブラナ科の詳しい分類を調べるきっかけになるかもしれない。

 菜花(なばな)は、京都産、福岡産など、食用としてスーパーマーケットその他で販売される。ビタミン類、カルシウムが豊富な食材として知っておくべきであろう。

 今ひとつ、菜種油の原料としての側面を知って戴きたい。

 江戸時代以降、菜種油の生産技術が普及したため、菜の花の栽培は増加し、昭和30年頃にはピークを迎えたようである。しかし、現在では輸入原料が多く、限りなく100%に近いと言って過言ではない。

 菜種油は、食用のみならず、ディーゼル燃料としても実用化が試みられている。ドイツ、滋賀県の実験はその現れである。

 休耕田を利用して菜種を栽培し、絞りかすは肥料とし、食用として利用した天ぷら油を回収してバイオ・ディーゼル燃料として再生すれば、環境への配慮がかなりの進展を見せると予想できる。

 それまでは、菜の花畑を眺めて楽しんで戴きたい。一部地域では、菜の花畑の迷路も用意されるかもしれない。

 「キャノーラ」とは、なたねの一種。品種改良によってエルカ酸の含有率を減らしたもので、「キャノーラ油」は、このキャノーラ種を原料とした食用植物油のこと。

 キャノーラ油には、不飽和脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸、リノレン酸などが多く含まれる。(農林水産省ホームページより)
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歳時記

【梅の花の季節】


 東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花

  主なしとて 春を忘るな (拾遺和歌集)


 (こちふかば においおこせよ うめのはな

  あるじなしとて はるをわするな しゅういわかしゅう)



 梅の花の咲く季節となった。

 風流を楽しむゆとりがない、と言わないで戴きたい。療育の一環だからである。

 梅の実が、梅干しをはじめ各種の加工品となることは周知のことである。実が熟すのは6月頃であるから、その時に梅加工を案内することとなる。療育を実行しようと言うのであれば、この作業に挑んで戴きたい。

 平安時代、貴族は薬として梅干しを珍重し、鎌倉時代以後、武士は梅干しなどを戦場に携行し、江戸時代には庶民にまで普及したと言われる。戦後一時期、人気が衰えたようであるが、近年その薬効が見直されている。年寄り臭いなどと言わず、梅の効用を試して戴きたい。

 2月のこの時期に出来ることは、梅の花を見に行くことである。近所または子供を連れて行ける範囲に、梅を観賞できる所があれば、是非、子供同伴で出かけることをお勧めする。

 最近は、梅の花見に合わせてイベントが開催されるので、子連れでも行きやすいと思われる。本サイトの事例における児童も梅が好物であると共に、梅の花見にも良く出かけた。

 梅の花の実物を見せることで、梅という存在が子供の記憶に刻み込まれるであろう。6月、梅の実が熟す頃にその実物を見せれば、記憶は更に鮮明となる。ここで注意して戴きたいのは、実物を見せることであって、写真やテレビで見せるだけでない点である。

 花見単独で療育の刺激策になるとは思えないが、その一環であることは間違いない。匂いを感じることが出来れば、効果は更に増大する。
平成19年2月1日から平成19年2月28日まで掲載
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CD38、オキシトシン

 CD38,オキシトシンと発達障害との関連について検討してみたい。2月8日のテレビ放送及び新聞報道で、発達障害の症状改善の可能性があるという記事が掲載されたからである。

 手元にある資料は、Nature 論文骨子(英文)、論文概要(和文)、プレスリリース(和文)、新聞記事(平成19年2月8日付日本経済新聞、毎日新聞、朝日新聞、中日新聞)である。Nature論文本文は未だ入手していない。

1.研究主体と研究目標

  1. 研究主体

    1. 東北大学大学院医学系研究科先端再生生命科学(江東微生物研究所)寄附講座 岡本宏名誉教授 高澤伸教授グループ(以下岡本グループという)。
    2. 金沢大学21世紀COEプロジェクト「革新脳科学」拠点リーダー東田陽博教授グループ(以下東田グループという)。共同研究者28名。

  2. 研究目標

    1. 岡本グループ

    2.  岡本グループの研究目標は再生医学(損傷あるいは欠損した生体組織や臓器を人工材料に頼らず自己再生すること)である。

       同グループの出発点は糖尿病の研究にあり、「岡本モデル」と言われる統一的機構を提唱した。このモデルは1999年、ノックアウトマウスを用いた研究で確認された。

       このノックアウトマウスが、CD38を欠損したマウスである。
      (プレスリリース、東北大学大学院医学系研究科医学部ホームページより)

    3. 東田グループ


    4.  東田グループの研究目標は発達障害にある。「発達・学習・記憶と障害の革新脳科学の創成」プログラムの発足以来、自閉症を含む発達障害の原因究明を中心課題としてきた。

       岡本グループとの共同研究の経緯を上記資料から明確に読みとることは難しいが、CD38について10年余共同で研究してきたと記載されている。

2.CD分類

 CD分類とは、モノクローナル抗体の国際分類のこと。
 (cluster of differentiation 又はCluster Designation)

 CD分類で付与された番号及び記号がCD番号である。CD1aから400種類近くの番号が振り分けられている。番号に特別な意味はなく、CD38はその1つである。

 Nature論文骨子で糖たんぱく質(glycoprotein)と説明しているため、報道ではたんぱく質としている。

 CD38の役割は従来不明であったが、今回の研究でその機能が解明されたようである。

3.オキシトシン(Oxytocin,OT)

 オキシトシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種で、陣痛促進剤としての使用は既に臨床で行われている。

 発達障害との関連も、概略的には、既に指摘されているところである。
 (Neuropsychopharmacology 2003.1.28)

4.論文内容

 「サイクリックADPリボースはNADから作られる細胞内情報伝達物質で、ホルモン分泌の引き金となる細胞内Ca2+濃度を上昇させる働きを持つ。

 CD38はこのサイクリックADPリボースをNADから作る重要な酵素である。

今回の研究で、
  1. CD38欠損マウスでは下垂体後葉でサイクリックADPリボースが低下しているため、細胞内のCa2+濃度が十分に上昇しない。

  2. このためオキシトシンの分泌が低下し、血中・脳脊髄液中のオキシトシン濃度が低下している。

  3. この結果CD38欠損雌マウスでは保育行動の低下、

  4. CD38欠損雄マウスで他の個体を認識記憶する能力(社会認識力)の低下といった社会行動異常が認められる。

  5. 社会行動の異常は脳室内にCD38発現ウイルスを接種すると正常に回復するが、

  6. 糖尿病患者で発見された酵素活性の低下した遺伝子変異を持つCD38の発現ウイルスでは回復できない。
 ことを見出し、CD38がオキシトシンの分泌を調節して、社会行動を制御することが明らかになった。」(プレスリリース和文より抜粋)

5.新聞記事記載事項

  日本経済新聞 朝日新聞 毎日新聞 中日新聞
大見出し 社会性ホルモン
分泌関与物質を特定
社会行動に影響たんぱく質特定
金沢大グループ(朝日新聞)
相手認識ホルモン分泌促進 発達障害の治療に道
中見出し 金沢大など、ネズミから 認識や愛情行動促す物質を特定、
治療へ応用も
金沢大(asahi.com)
白血球内たんぱく分子
金沢大大学院が究明
 

 テレビ放送では、NHK,テレビ金沢が取り上げたようである。NHKでは「発達障害 たんぱく質が関与か」、テレビ金沢では、「発達障害治療に光、金沢大医学部が研究」と題して紹介している。

 報道では、CD38とオキシトシンに関する説明しか見当たらないが、論文では、上記のように複雑なプロセスを経て社会行動の異常に至ることを論じている。

6.発達障害改善への寄与

 報道では、今回の研究成果が発達障害治療に役立つ可能性があるとしている。

 上記資料を読んで素人なりに考えると、CD38が何故減少したのか、オキシトシンを投与して異常が見られなくなったとしても、投与を中止した後の経過がどうなのか、疑問は残る。

 検索エンジンでCD38などをキーワードとして検索すると、あたかも発達障害の治療薬に直結するかのような記述がブログなどに見られるが、気が早いと思える。

・・・CD38・・ may be an element in neurodevelopmental disorders.
(Nature 論文骨子)

 論文骨子は、「1つの要因かもしれない」と言っているだけである。研究者 としての慎重さ故であろうが、この面からの治療薬が短時日で開発できるとは、考えない方が無難であろう。
平成19年2月17日から平成19年2月26日まで掲載
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新年を迎えるに当たって

 病気治癒の極意は、早期発見、早期治療という。

 発達障害の難しさは、その両方が円滑にいかない点にある。明確な診断が早期には難しいことに加え、仮に診断が早期になされたところで、確立した治療法が存在しないからである。

 発達障害は先天性であり、生涯治らないと宣告されれば、誰しも絶望感にさいなまれるであろう。決定的治療法が確立していない現在、保護者に出来ることは現実を受け入れることとする人たちがいる。

 反面、会員同士の「傷の舐め合い」を否定するサイトが存在する。子を思う親の執念は健在であることを実感させる一面である。

 有害ミネラルが発達障害の原因とする説は、まだ少数説かもしれない。しかし、副作用があるとはいえキレート療法に効果があり、RNAサプリメントが医師により使用されていることは、裏付けの1つになると思われる。

 今、親にできることは、有害ミネラルが原因の発達障害児を救済することと思う。平成19年という年がその元年になることを願って、新年を迎えたい。
平成18年12月30日から平成19年1月13日まで掲載
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